井戸のある暮らし

井戸のある暮らし
素掘り井戸内の調査の様子

なぜ現代に、「井戸のある暮らし」を提案するのか

 一般社団法人日本庭園芸術協会では、皆様のご家庭に「井戸のある暮らし」をご提案をさせて頂きたいと思っております。
 現代、どこのご家庭でも蛇口をひねると簡単に水が出る時代であります。井戸で家庭用水をまかなう人はほとんどいないでしょう。しかし、近年、地震や風水害などの災害が頻発し、水、電気、ガスなどのライフラインを確保する必要性が指摘されています。そして、重要な水を確保するために、井戸が注目されつつあります。当協会では、気候温暖化による異常気象や地震などの災害がますます現実味をおびる昨今、家庭で水を確保できる「井戸のある暮らし」は、新しい時代の常識になるかもしれないと、考えております。
 また、私たちが「井戸のある暮らし」を見直すのは、昔の日本人の生活スタイルに学ぶところがあるからです。かつて日本人が家屋の脇に井戸を備えていたのは、生活用水を確保するためでしたが、昔の工法による井戸には生活環境を保全し、大地を再生する機能があることが明らかになっています。水害や土砂災害から家を守り、また、食料となる作物を育てるには、肥沃で健康な土地が必要です。そのためには地中に十分な水と空気の流れが保たれている必要があり、水と空気の流れをつくる役割を井戸がはたしていたのです。地中の水と空気の健全な流れをつくることで、災害から身を守り、木や植物の成長を促すという知恵は、昔の日本人の家屋や生活様式に取り入れられていました。
 しかし、現代では土砂災害や水害などがあった山や川は危険地域としてコンクリート壁で固められています。われわれの住宅や道路も地表を覆い、地中に水と空気が取り込めない大地の呼吸不全が起きています。そして、大地の呼吸不全から、土砂災害や水害、ひいては温暖化にも影響するという悪循環を生み出しています。このような環境の悪化は、加速度的に進んでいます。
 当協会では、そのような現実を鑑みて、われわれ個人が地球環境のためにできる取り組みとして、①地域ごとの風土の再生をめざす、②大地の呼吸と循環(水と空気、風)を再生する、③自然と人との共同作業を大切にする、④小さな一歩からできる環境整備を大切にする、を目的に掲げ、古井戸の再生や井戸を新設する「井戸のある暮らし」のご提案をさせていただいております。

「井戸」づくりと「井戸端」のすすめ

 当協会では、昔の日本人の生活感覚の視点を見直し、人間と自然とが共に活かし合う取り組みとしても「井戸のある暮らし」に注目し、さらに、昔の長屋住まいの人々が井戸に集まり、水くみや洗濯をしながら世間話をしていたところから生まれた「井戸端会議」のように、現代においても「井戸」から生まれる交流の場としても考えていきたと願っております。

主な事業内容

  1. 古い井戸の再生(井戸さらい)
    ・50万円~ 金額は相談に応じます
  2. 新しい井戸をつくる
    ・100万円~ 金額は相談に応じます
  3. 井戸端の整備
    ・30万円~ 金額は相談に応じます
  4. 井戸と地域(公園などの公共施設)をつなぐ整備
    ・規模によって金額はことなりますが、相談に応じます
井戸の再生工程
  • STEP1

    コンクリートでふさがれ、長年使われていなかった井戸を開け、井戸の底に溜まった泥をとりのぞき、30センチ掘った。

    底おの泥を取り除く写真
  • STEP2

    掘った後、砂利をいれて底面を整える。

    底面を整える写真
  • STEP3

    井戸さらいをして、一日置くと水が透明に澄み、これまでより水量が増える。

    水量がふえてくる写真
  • STEP4

    災害で電気が止まることも考えて、電動ポンプ以外に手押しポンプで水が汲みあげられるようにした。

    手押しポンプの完成写真